日本の活断層百景

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結果と入賞作品のご報告


「日本の活断層百景」活動について
-科学教育・地震災害の軽減・地域振興・変動事象の保存をめざして-

日本活断層学会 普及教育委員会
活断層百選専門委員会

1. はじめに

日本活断層学会では、身近に存在する活断層を知ることによって地球科学と自然災害に対する関心を多くの方に持って頂きたいと思い、平成21年度から「活断層百選専門委員会」(以下では「専門委員会」と略す)を発足し、活動を開始しました。

我々が暮らす日本には、多数の活断層が分布し、その中でも近い将来大きな被害を起こす可能性のある活断層もあります。活断層百選専門委員会では、一般の方にも日常の空間から活断層を知ってもらうきっかけづくりとして、「日本の活断層百景」を選定することに致しました。委員会では、科学的および社会的に重要な活断層や地震断層などについておおよそ100ヶ所を選出するとともに、それらの情報の活用法を提案することによって、科学教育、防災教育、地域振興などに貢献したいと考えております。


2. 選定方法・選考基準について

「日本の活断層百景」の選考にあたっては、専門委員会において各地の活断層に関する情報を整理した「推薦シート」を作成し、それを基に選考会において「日本の活断層百景」を選定することとしております。現在、専門委員会では全国各地の活断層について「推薦シート」を順次作成しているとともに、選考結果を今年度の秋季学術大会で発表できるように鋭意準備を進めているところです。

「日本の活断層百景」では、客観的で誰にも分かりやすい選定基準を作り、それに従って選考することが重要と考えられます。この選定基準に関しては、学術的意義や文化財的な意義のほか,社会的な重要性や教材として有用性などを選定要素として挙げています。また、活断層を視覚的にとらえやすい地形や露頭などの情報を重視するほか、従来は「やっかいもの」あるいは「地震の元凶」と思われがちな活断層が持つ「恵み」の側面(例、特徴的な景観、温泉・水脈、鉱脈、街道など)も重要な選考基準としたいと考えています。

「日本の活断層百景」の選考基準

A. 大きな活動度をもち、地形・地質学的な証拠が明瞭で学術的に意義があること
B. 歴史時代に活動し、その痕跡が認められること
C. 見学などに便利である(教育保存設備が整備されている)こと
D. 国や自治体によって指定(天然記念物など)がなされていること
E. 人口密集地に近く、社会的影響度が大きいこと
F. その他


3. 作業状況

「日本の活断層百景」の選定に当たり、まず候補断層に関する概要表を作成しました。一部の例を表2に示します。本表は、比較的良く使われている断層名を用い、記載項目を上記の選定要素に係る記載内容を整理することにしています。

なお、同一の活断層に複数の対象箇所がある場合は、複数個所を一括にして、1地区として選定する予定です。ただし、中央構造線や糸魚川-静岡構造線活断層帯のような長大な活断層系の場合は、ある程度の長さの区間に区切って対象箇所を選ぶことにしました。この概要表に基いて予備選定を行い、それに残ったものについて推薦シートを作成しています。

概要表の例

番号 断層名(地区名) 特徴 選考基準
A B C D E F
XX 阿寺断層帯
阿寺断層
岐阜県中津川市坂下
(坂下地区)
阿寺断層は,北東側隆起の左横ずれ断層.木曽川右岸の低位~中位段丘面に下流側向きの低断層崖を伴い累積的な左横ずれ変位をもたらしている.複数の段丘面を系統的にずらしている教科書的な事例.平均変位速度は2~4 m/ka.沖積段丘面でのトレンチ調査で砂礫層を切る断層を確認.最新の活動は,天正の地震(1586)とされている. - - -
XX 糸魚川-静岡構造線活断層系
中部区間
牛伏寺断層
松本市中山-大久保山南方
(中山丘陵南方地区)
牛伏寺断層は,糸静線活断層系の中部区間の北端部に位置し左横ずれ変位地形のきわめて明瞭な活断層.
中山丘陵南方地区では,典型的な横ずれ変位地形(尾根・谷の屈曲,閉塞丘,裁頭谷など)がみられる.段丘面に横ずれ変位の累積性があり,その平均変位速度は8.6 m/kaで,我が国最大級を誇る.今後30年以内の地震発生確率は国内で2番目に高い.また,長野県の中核的都市である松本市の直下に延びている.
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XX 濃尾地震断層帯
根尾谷断層
岐阜県本巣市根尾水鳥
(水鳥断層崖地区)
濃尾地震断層帯は,日本内陸部最大規模の1891年濃尾地震(マグニチュード8.0)の際に出来た約30 kmにおよび地震断層.根尾谷断層はその中央部にある活動性の一番高い断層で,平均変位速度は約2 m/kaである.水鳥断層崖は,我が国最大規模の地表変位の崖(垂直成分6m,左横ずれ成分約2 m).国指定特別天然記念物.同断層が観察できる断層地下観察館と展望観察広場がある. - -

4. 推薦シート

「日本の活断層百景」の候補断層について推薦シートを作成します。このシートには、候補断層の位置や特徴に関する記述のほか、地図や写真などを添付しています。選考会においては、この推薦シートを基に「日本の活断層百景」にふさわしい活断層を選考していきます。

推薦シートの試行例については、こちら(根尾谷・中央構造線)からご覧頂けます.

なお、本企画と並行して行なわれている「日本の活断層・フォトコンテスト」に応募頂いた写真の中で優秀な作品については、この推薦シートにも使用される場合もあります。


5. 今後のスケジュール

今後の作業として、推薦シートを専門委員会で作成していくとともに、選考会を開催する準備を進めていく予定です。選考会は10月下旬頃に開催される予定です。選考結果につきましては、平成22年秋季学術大会(11月27・28日に名古屋大学で開催)および2011年地球惑星科学連合大会時に発表する予定としています。

また、専門委員会では将来的な「日本の活断層百景」の活用法についても検討していきます。本活動の目的である防災教育と地域振興策の資料として地元自治体等に活断層情報を提供すると共に、一般の人にもわかりやすい活断層情報の提供を進めたいと考えています。具体的な提案として、自治体や国へ天然記念物として学会から推薦することや、ジオパークのジオサイトの候補に推薦するなどを検討中です。


6. 委員の募集

活断層百選専門委員会では、上記活動にご協力頂ける方を募集しております。委員としてご協力頂ける方は、日本活断層学会事務局までご連絡下さい。学会の理事会で承認された後、委員として活動に参加して頂きます。


活断層百選専門委員会メンバー構成(平成27年6月1日時点)

委員長 豊蔵 勇(ジオ・とよくら技術士事務所)
副委員長 吾妻 崇(産総研 活断層・火山研究部門)
委員 太田陽子(国立台湾大学)
大津 直(北海道立総合研究機構 地質研究所)
桂 雄三(元文化庁)
田近 淳(ドーコン)
千田 昇(大分大学)
中田 高(広島大学)
原田明夫(元東京国立博物館)
星野 実(国土地理院)
細矢卓志(中央開発)
向山 栄(国際航業)
渡辺満久(東洋大学)
顧問 岡田篤正(京都大学)
松田時彦(地震予知総合研究振興会)

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